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たけしの華麗なる消費生活

華麗なるたけしが、日々の生活の中で、華麗に消費していったモノやコトやシコウについてのメモ。JPとUSのVisionary Company、Management Consulting Firm、MarketingやBusiness Development、Business Strategyな経験からか、そもそもだからなのか、かなり自由な風味で書き綴っております^^

世界を変える可能性がある日本企業

キャッチーなタイトルをつけてみましたが、メタップス社長の佐藤航陽氏の著書「未来に先回りする思考法」について。なかなか、読み応えがあったよ、これは。

タップスは最近上場しましたが、僕がメタップスを知ったのは、結構遅くて、2月に43億円の資金調達をしたときでした。日本の仲良しこよし的なVCからの出資ではなく、大物ゴールドマンサックス等も出資の一団に入っていて、興味を持ったわけです。

jp.techcrunch.com

ホームページを覗いてみると、AppleGoogle日本法人の元Topや竹中平蔵等がアドバイザーに入っていたりで、スタートアップにしてはなかなかの布陣だな、と思ったのと、事業の展開内容や経営陣の職歴等を見るに、ポジティブな雰囲気の印象を持ちました。

それに加えて、同時期にリリースされていた佐藤氏のブログを読んでみると、なかなかの思考の深さ。これは、そこらへんに転がってるスタートアップとは違うな、とそのとき思ったわけです。

で、この本も早速手に取ってみたのですが、上場に併せた本のリリースということで、多くの資金を得て、事業成長を加速させたいステージの中、その加速を担う人材を獲得するために、トップである社長であり会社自体のケーパビリティと、そのポテンシャルを世に広め、優秀な人材の獲得を狙った位置付けの本かなと思いますが、その狙いにちゃんとミートできた内容だと思いました。

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タイトルは「未来に先回りする思考法」なわけですが、本の大部分は、経営や技術だけでなく、政治や歴史に及ぶ広く深い知識をコネクトしつつ、それらに通じる原理を見極めることで、未来を紐解こうとする思考が繰り広げられています。

PEST等のマクロ環境分析とはちと違う。スナップショットのある時点で、自分が考える事業の目線で、マクロ環境の各要素による影響因子を都合良く切り取るのではなく、時間軸をぐーーーっと長くとって、世界のパラダイムの原理について、多面的な知識を基にした分析から浮き彫りにして、自らの事業に、意思決定に活かす、といった形です。

文章を読んで思ったのは、これが、20代の社長の頭の中か、という驚きです。海外のアイビーリーグMBAロースクールの両方で膨大な本と議論の千本ノックをし、その後、ビジネス界で一定期間揉まれたシリコンバレーのイケてるスタートアップのトップ、もしくは、ISL等の経営の高等教育で学び、その後経営の実践を多く積むことで、多面的な知識と経験を手にした熟練の大企業経営者か、という印象を持ちました。

この本を読むと、先の贅沢なアドバイザーたちがアドバイザーになった理由がわかります。とても優秀、そして、それだけでなく、優秀さを持ちながらも、ビジネスという相対的に不確実性の高い土俵で、大きな意思決定をし続け、今の所当てている、というその実績に魅了されたのだな、と。

ということで、随分褒めまくったエントリーになってきました。ついでに、僕が気にいいった文章を幾つかあげておこうかな、と思います。

実験を重視する物理などの自然科学とは異なり、社会科学で真理とされることのほとんどは、個人の「考察」でしかありませんでした。その正当性は、学会内の権威によって担保され、それが本当に真実なのかどうかは、確かめようかありません。

何が正しくて何が間違っているのか?社会のメカニズムはどうなっているのか?私は、それらを最もリアルタイムにフィードバックを受けつつ検証できるのは、学会の中ではなく、ビジネスの世界だと思っています。

僕の思考というか、価値観に似通っているな、と。で、三枝さんと伊丹さんの対談本を思い出しました。この本は、百戦錬磨の経営者である三枝さんと、経営学の大学教授である伊丹さんの対談の本なのですが、抽象的な方法論やフレームワークの話をする伊丹さんと、経営の前線で骨肉にした具体的な言葉で話をする三枝さんとでは、その言葉の濃さが実に違うのです。

結局、新しい経営理論は、経営の結果からしかできない、と考えさせられるわけで、その理論すら、その時点の理論であり、絶対的な理論ではないと、ある冷静さを持ちながらその理論を頭の中の引き出しにしまうわけですが、彼は、そういった経営理論、メカニズムをプロアクティブに自らが創ろうと考えている、という点が斬新だと思ったわけです。

将来的に新しい情報が得られるであろうことを考慮に入れた上で、一定の論理的な矛盾や不確実性をあえて許容しながら意思決定を行うことが、未来へ先回りするための近道です。

これをちゃんと自覚的にできている経営者がどれほどいるか、ということですよね。これは正しい、と思いながら意思決定するのではなく、今ある持ち情報からは正しいが、今持ち合わせていない情報を元に置いている前提が、今後表れる情報により変わる可能性があり、その結果、今正しいと考えている意思決定事項も変わるかもしれない、とちゃんと考えながらも、今意思決定をする、ということ。これを自覚的にできているか?

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ということで、大賛辞のエントリーを書いてみました。まあ、色々な見方ができるわけですが、久し振りのエントリーだからね。