たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

稲垣・草彅・香取のホンネテレビと、これからの三人とテレビ

さて、先の三連休といえば、稲垣・草彅・香取のホンネテレビですね。この三連休は予定が結構詰まっていたのですが、SMAP世代の僕としては、この番組をチェックせざるを得なかったです。おまけに、香取慎吾のインスタ、三人のツイッターもちょこちょこチェックして、いいね!しまくってました。そんな三連休とホンネテレビ。

ホンネテレビを見ての所感

所感としてまず思ったのは、アイドルの三人というよりも、人間としての三人を見ることができた番組だったのかな、と。これまでのテレビや他媒体では見ることができなかった三人。演出としては、カメラの長回しで、テロップ等を多用しない形で、ひょんなシーンで見せる、語る彼らのリアルが詰まった内容だったのかなと思います。勿論、72時間を飽きさせないために、テレビでも使うようなあれやこれやのコンテンツも詰め込んでいたわけですが、大きな違いは、人間としての素の三人だったのかな、と思いました。

次に、ネットでの三人なのですが、非常に新しいことなのだと思います。ジャニーズの括りでは。見てて感じたのは、SNSで無差別に発信・拡散されることで、彼らの情報価値が希薄化しないか、ということでした。SNS、特に、Twitterによる拡散力はすさまじいわけですが、そのリーチ力とトレードオフで、彼らの情報価値が相対的に薄まらないか、ということです。

今までは、ネットはNGだったわけですが、これはこれで意味があったことです。Twitterなどで三人に関するツイートを読むと、XX(メンバー名)担みたいな形でディープなカスタマーがいるわけで、彼女らにとっては、自分たちのアイドルだったという意識をネットNGによって強めていたのは事実で、それがあることで、よりお金を使ってくれたという面も実際にあったのだと思います。それは、ジャニーズの戦略に沿っています。

今回の独立にあたって、ネットの力を活用することはとても大事で、彼らに関する認知や想起の力が弱まらないうちに、ネットで話題を打ち立て、彼らの価値を改めて認識してもらう上で、SNSの活用について、垂直立ち上げをすることはとても重要で、先のファンに提供していた限定的な付加情報をやめた、という考え方もあるとは思うのですが、今後の彼らの活躍を考えたときには、それらのファンのピュアなアイドル的な価値は徐々に弱まっていくので妥当な選択だったのかなと思いました。また、情報の発信量は今後最適化されていくだろうから、今回感じた懸念点は和らぐはずです。

一方、これらの取組みを若いジャニーズではなかなかできないとも思いました。SMAPTOKIOレベルを除くと、相変わらず、昔ながらのアイドル価値で生きている面が強いからです。そう考えると、ジャニーズ事務所は、これまでの方針もあるわけですが、この成功を見ても、方針変更をしにくいわけです。

これからの三人はどうなっていくのか?

個人的には、楽観的に見ています。最近のNewsPicsの特集を見ると、テレビにまつわる政治状況をみるに、やはりテレビでの大きな活躍は暫くは難しいように思うので、テレビ以外のネットによる攻勢は続くのではないでしょうか。噂では、Amazon Primeでの映画化みたいな話もあるようなので、Amazon Primeと、今回の成功を受けてのAbema TVでのレギュラー化みたいなのは普通にあると思います。

加えて、テレビでのレギュラー番組は暫くないとしても、芸達者な人材たちなので、テレビ以外で活躍することで、テレビのニュースで目にすることは多いのかな、と思います。特に、香取慎吾の芸は幅が広いので、アートでもなんでも、今後次々と打ち手をうってくるのではないか、と思います。香取慎吾はとても想像しやすい、わかりやすいセグメントで活躍するのではないでしょうか。

一方、草彅剛と稲垣吾郎は、どのように活躍するかは少し想像力を使ってもいいかなと思います。普通に考えると、役者ラインとして、舞台等に出演するかな、というのはありつつも、それだけでは少し足りない。としたときに、草彅剛は、クラッシックなモノへの造詣が深いので、服や楽器、車等のそれらの領域で、エッジを効かせた展開(ECや店舗経営等)をするかもしれないし、稲垣吾郎は独特の世界観なので文芸方面に行く可能性もあるかな、と思っていますが、両者ともに、ビジネス領域に拡大していく可能性は結構あるかな、と思います。

最近は、キンコン西野柴咲コウ山田孝之等、芸能人がビジネス領域、特に、ネットなどの領域に活躍の領域を広げています。芸能人のセンスは、何かの事業開発のシーズとしては、面白いピースなので、違和感のない展開なのですが、草彅剛や稲垣吾郎などはそのように活躍の領域を広げていってもおかしくないかな、と思います。

そんな風に活躍を広げていくと、CMの起用企業数も増加していくのではないかと思います。本来、CMの起用は、カスタマの人気と相関性が高いわけで、テレビに起用されている本数などよりもその相関係数は高い理屈があります。としたときに、仮に、彼ら三人がテレビ番組に起用されなくても、多少芸能事務所からの政治がある広告代理店を介して発注会社が振り回される部分はあるかもしれないが、彼らがCMに起用されるということが普通に起きることが可能だと思うわけです。途中、木村拓哉云々の影響はあるわけですが、根本的には、ジャニーズ事務所のくだらない社内政治が根本原因であり、その結果、テレビ業界であり芸能界の政治による苦難が待ち受けているとわかっていながらもチャレンジの道を選んだ三人を応援したい会社は多いと思うからです。

これからのテレビはどうなっていくのか?

今回の72時間テレビは、偶然に偶然が重なった、ちょっとした奇跡だったのかな、と思いますし、振り返ると、メディアの変化点になるのかもと推測したりしています。

ネットテレビのような話は、2005年に、堀江貴文ライブドアがフジテレビを買収したときから語られていたことでした。振り返るともう12年前の話です。当時は、メディアの今後の方向性みたいな話を基に買収が語られていたわけですが、その時点では少し時期尚早なコンセプト的な位置付けでしたが、少しずつ、ネットテレビがサービスとして現れ、今年に入ってから、ネットテレビのCMが盛んに流れるようになり、先のエントリーでも書きましたが、吉本興業が趨勢を見極めて、Amazon PrimeNetflixでコンテンツを提供し始めており、やっと時代がコンセプトに追いついてきた感があります。

この過程においては、人材の流動が起きていて、世間から締め付けが厳しいテレビ業界のコンテンツはつまらなくなり、視聴率は相対的に良い番組でも10%台がやっとの世界で、10-20年前の半減。当然広告収入は減少し金も集まらなくなり、そうすると人も集まらないし、面白いコンテンツも実現できない業界には、より優秀な人材は集まらず、逆に、抜けていく。その結果、人が集まるのが、ネットテレビをサービスとして提供するIT企業なわけで、当然のように、人が集まることで、コンテンツのクオリティも高まってきた、というのが今年なのかな、と。

そして、このタイミングで、元SMAPの三人が合流し、今回は、Abema TVで花開いたのかな、と。今回の視聴者数で累計7,200万人ですが、この数字の意味するところは、これだけの人たちが、ネットテレビに触れて、クオリティを実感したことにあると思います。Abema TVを見ている中で流れているAbema TVの番組のクロスユースも勿論あるわけですが、これまでのネットテレビに見向きもしなかった人たちのタッチポイントを獲得したことに意味があるのではないかな、と思います。これが数年前だったら、コンテンツのクオリティが低くて、視聴者は例え人気者の三人のコンテンツだったとしても見続けてくれなかったかもしれないが、そんなことは起きなかった。よって、ホンネテレビ以前のネットテレビでは、イノベーターから、アーリーマジョリティのセグメントに入ってきていたところだったと思いますが、一気にレイトマジョリティも含めたマジョリティを動かしたとも言えるのではないかな、と思います。

奇しくも、同じタイミングで、テレビの歴史的なエンタテイメント番組の一つである、めちゃイケの放送終了が広報されました。事前にその情報が流れていたのにも関わらず、視聴率は10%を大幅に切った6.6%でした。昔、めちゃイケを見ていた人たちが、めちゃイケではなく、ホンネテレビを見ていた人は多いのではないでしょうか?かくいう僕もその一人です。めちゃイケは、この数年ほとんど見なくなっていました。テレビはつまらなくなってしまったのです。

結局、エンドユーザーである視聴者とどこまで向き合えるか、が大事だと思うわけですが、クレームに対応するだけでなく、どのようなエンドユーザーを獲得するか、逆に捨てるか、の戦略が大事なのかな、と思います。言うまでもなく、ネットサービスは、テレビよりも圧倒的にきめ細かくそこを分析できる環境があり、コンテンツの改善に活かす能力が長けているIT企業が運営しています。

Amazon PrimeかAbema TVか、はたまたNetflixか、彼らは、ネットテレビのサービス企業間ですさまじい競争をしているわけですが、その過程で起きていることは、テレビの視聴者のタイムシェアの獲得を意味していることも言うまでもありません。ネット企業間のスピード感ある競争の前では、テレビ会社は後塵を拝さざるを得ないのも自明かな、と思います。

そんな競争環境もある中での今回の出来事は、この競争を加速する意味合いもあると思うわけですが、そう考えたとき、あまりにも早く、テレビ業界がより衰退していく可能性は多分にあるかなと思ったりもします。パラダイムが変わったのだ、と。それほど、今回のホンネテレビのインパクトは大きかったのではないか、と思っています。

おわりに

色々書きましたが、そもそも、SMAPが好きなんですよね笑。なぜ好きかっていうと、彼らはチャレンジし続けていたからです。既存のアイドル像を壊し、新しいチャレンジをし続け、彼らの活躍領域を拡大し続けた。そのプロセスをテレビを通じてみてきて、好きになったわけです。残念ながら、今回は、三人のチャレンジになってしまっているわけですが、引き続き、三人のチャレンジを応援したいし、見ていきたいな、と思っています。それと合わせて、ネットとテレビの今後を見るのも面白いかもしれませんね。みなさんも、ご参考にして頂けたらと思います~