たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

速すぎて見えない経営から学ぶ、大企業を踊らす要諦(「爆速経営 新生ヤフーの500日」蛯谷 敏)

組織を変えるということは、非常に難しいこと。組織を運営する立場に自分毎として取組んだことがある人は、その難しさを実感することだろう。それが、数千人規模の組織になると更に難しいわけだが、どうやら、日本のヤフーは(アメリカのヤフーもなのかもしれないが)、大きく変わってきているようだ。

その舵取りをするのは、2012年に、前社長の井上雅博さんから受け継いだ宮坂学さん。トップダウンだった前社長のスタイルから、180度転換し、大胆に権限委譲し、速すぎて見えないレベルの「爆速経営」をリードしているのが特徴。

実は、とても難易度が高いのは、日本のヤフーは、経営状況が決して悪くなくて、とても営業利益が出ていて、別に変革をする必要なんてない、とみんなが思ってもおかしくない状況で、宮坂さんに社長が変わったのはとてもユニークな点。

本中には、IBMのガースナーの改革の本が、経営陣の参考図書として上げられているのだが、IBMの改革は、瀕死の状態だった点が、日本のヤフーとは異なる。クリティカルな状況だと、みなが危機意識が強く、ダイナミックな施策も打ちやすいのだが、経営状況が良い場合は、ダイナミックな施策は嫌われるからだ。

そんなわけで、今のところ、日本のヤフーという会社を、「爆速」というキーワードで、社員を鼓舞し、イケイケな雰囲気を醸成し、実際、様々な領域の様々な施策が打たれ続けている事実を考えてみると、結構参考にしたいよね、と頷く部分も多いのかな、と思うのですよね。

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それにしても、この本を読んでみると、経営というのは、人を活かす仕事なのだな、と思わされる。社長が超優秀でも、全ての事業で、全ての戦略を考えて、全て実行することはできない。この本で紹介されているような各機能領域で尖った優秀な執行役員を集め、スタッフ全てが、自分の能力を最大限に発揮できるような「仕組み」を磨いていくことが必要だな、と思わされる。

では、どうすれば、そのような仕組みだとかを創るような経営の能力を身につけることができるか?なのだが、日本電産永守重信さんのお話があり、宮坂さんも参考にされているだとか。このブログでも引用しておきましょう。

  • 経営には、二つの要素しかない。
  1. いかに多くの意思決定をするか
  2. いかに早く挫折を経験するか

つまり、なるべく長期間にわたって、経営者をやることが大事、ということ。普通に会社に入って、経営者になれるまでには、結構時間がかかるわけで、もし、経営のプロになりたい、と考えた場合、普通とは異なる取組み、例えば、事業再生やハンズオン型のコンサルティングや、ベンチャーキャピタル等の取締役で会社経営に携わるケースや、自分で会社を立ち上げる、等の取組みが必要なのかな、と。あとは、総合商社や、比較的挑戦を重んじる大企業で子会社等に出向するケースですかね。

どちらにしても、強い想いがないとできません。会社を経営し、全てのリソースの行く末を導いて行くのが経営なのですから、当然なのですが。そんなことを、読みながら、ちょこちょこ考えたのでした。