たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

「与える人」こそ成功する時代

ウォートンの史上最年少の終身教授の処女本

一橋大学の教授である楠木健氏の推薦文であり、本のコピーが印象的で手に取ったのがこちらの本。GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代。

筆者であるアダム グラントは、ウォートンで史上最年少で終身教授のポジションを獲得し、フォーチューン氏で世界で最も優秀な40歳以下の教授40人にも選ばれた秀才。この本では、世の中の人は、GIVER(与える人)とTAKER(与えられる人)とその中間に三別されるが、このTAKERこそが、世の中を豊かにするので大事、と説いていて、とても興味深い内容だった。

読んでいて、ひっかかったことを三つほど引用すると、こんな感じ。

  • 価値を交換するのではなく、ひたすら価値を「増やす」
  •  「他人がしてくれたこと」よりも、自分が「してあげたこと」に関する情報の方がより多く手に入る
  • GIVERにできる一番のことは質問すること

価値を交換するのではなく、ひたすら価値を「増やす」

世の中には、GIVE & TAKEを好む人が多い。GIVERとTAKERがいるのだけど、その中間の人が多いのだ。その人たちとTAKERの人たちの考え方の根本にあるのは、パイの大きさが決まっている、ということ。

例えば、イチゴのパイがあと1切れになってしまったが食べたい場合、もう一人の食べたい人よりも先に獲ってしまうか、バナナのパイと交換するか、等の選択肢があるのだが、前者はTAKERで、GIVE & TAKEをする人なのだが、GIVERは、残りのイチゴのパイを相手にあげてしまって、それとは異なる新しいパイを創ってしまう、みたいな考え方になる。

勿論、状況により取り得るオプションには幅があるわけだが、そのように、何かに規定された限定的な世界で価値を授受するのではなく、新しい価値を創ろうとすることについて、行動の優先度を置いているのが、GIVERの特徴としてある。GIVERて、いい人て見方があるように思うが、異なる見方として、創造的で前向きな考え方である行動を持ち合わせている、ということがあるのだと思う。

「他人がしてくれたこと」よりも、自分が「してあげたこと」に関する情報の方がより多く手に入る

一つ目と関係しているが、何かの世界で授受することにとらわれておらず、自ら創造する思考や行動があるので、そのプロセスで得られる情報はとても多く、それらが積み重ねるので累乗的に知識や経験が増えていくという効果がある。そうすると、さらに、誰かを幸せにしたり、ベネフィットを提供できる可能性が高まり好循環に入っていく。そんな好循環なサイクルを考えたとき、冒頭にもあるように、GIVERこそが成功する時代、と言えるのかもしれない。

GIVERにできる一番のことは質問すること

個人的には、これは、とても面白い考え方だと思った。質問すること、というのは、相手に新しい何かを与えている、という考え方の一側面がとても斬新だな、と。例えば、何かの議論をするとき、議論の発端は、質問であることが多いし、その議論の残論点や残課題として新しく生まれることも、質問することが多い。としたとき、何かの企画や検討のクオリティを上げる、ということは、質問することである、というのが最近とても思うことなのだけど、そんな議論の局面だけでなく、そもそも、GIVERとして何かを与えるということの一番のことが質問すること、と言っている点はとても印象的であった。相手に何か新しい思考や行動を引き起こすためのキードライバーとなる行動は、質問することなのだな、と。なんだかすっと腑に落ちたのでした。

おわりに

よく、GIVEの5乗をしろ、とかいう話も聞いたりしますが、やはり、GIVEは大事ですね。勿論フリーライドする輩はいるので注意は必要なのですが、基本は、GIVE。そして、上記に書いた、価値を増やす、というスタンスが大事なのだと思います。そのスタンスがなく、労働集約的にGIVEをすると、何かの袋小路にはまってしまうように思います。うまいGIVEをどんどん増やせるように、日々取り組みたいと思います。

「開通90周年記念イベント 10月9日池上線フリー乗車デー」企画に関する考察

開通90周年記念イベント 池上線フリー乗車デー

東急電鉄は、池上線の開通90周年を記念するイベントで、10月9日に池上線フリー乗車デーを企画し、池上線に乗り放題で、沿線各駅でスタンプラリーやライブ等の様々なイベントを開催した。様々なニュース番組でも取り上げられており、例えば、戸越銀座では、戸越銀座コロッケがピックアップされて賑わい、戸越銀座駅は人がごった返しになって、ホームでは少し危ない状況だし、電車は満員電車になっていた。

実は奇遇なのですが、僕は、池上線の洗足池駅の目の前の洗足池に偶然朝からいっていて、アヒルのボートに乗ろうと思っていたのだけど、すげー人がごったかえしていて、10時半前に行ったら、かなり並んで待って手渡された整理券が13時のモノで、さすがに諦めて帰りました。みたいな体験もした出来事でした。

東急電鉄がこのイベントを開催した背景と、イベントの定量評価の難しさ

さて、なぜ、東急電鉄はこのようなイベントを開催したのか?なのですが、広報文にも書いてある通り、池上線沿線ならではの魅力を伝え、沿線地域の活性化を目指す、ということが大きな目的のようです。池上線は、東横線田園都市線ほどの人気はないことから、まずは認知度をあげるために、今回のイベントを開催したわけですが、このようなイベントの効果を定量的に評価するのは難しいから大変です。

電車の運行自体は、基本は人件費や燃料費等がコストとしてかかるわけですが、これらは固定費で変わらない。沿線各所でイベントを開催する際にかかる人件費や各イベントの変動費などの来場者が沿線各所の良さに気づいてもらうためのコストと、そもそも来場してもらうための集客コスト(チラシやらなにやら)がコストとしてかかります。推察ですが、イベント開催に伴う人件費コストと集客コストは東急電鉄持ちで、各所のイベントコスト(例えば、ボード代無料、等)は各業者持ち、なのではないか、と思いますが、それでも、数千万円くらいはかかったイベントなのではないか、と思います。

一方で、そのリターンとしての効果は、測り方が難しい。一次的には、乗車客数やイベントへの参加人数になり、それらの人数はある程度の粗さを残しながらも定量化が可能だと思います。そして、それらの結果、一人当たりの利用者獲得コストも算出することができて、他の集客施策との比較もある程度できると思います。洗足池だけでも、1000人くらいは乗降したのではないか、と考えたとき、1万人規模で人を動かすことができたのではないかと思うと、この一次指標のROIは良いかもしれません。(この施策では、元々池上線沿線に住んでいる人も利用してしまいカウントしてしまう点を考慮しないといけませんが。)

しかし、本来的には、池上線の魅力が伝わり、池上線への関心が高まることが目的なので、イベントで動員したお客さんについて、池上線への認知度がいかに上がったか、などの指標が測れないと大きな目的からはずれた施策になってしまいます。背景として、東急電鉄としての企画、というのがキーで、結局、東急としては、池上線沿線の魅力が伝わり、自分たちの住居選択の際の想起として、池上沿線が候補にあがることを考えているためです。東急電鉄のビジネスモデルとしては、東急の各線の運賃費による収益は勿論あるわけですが、その沿線の住居や東急ストア等の販売も大きな収益になっており、ライフスタイルの多くの側面に寄り添い収益化することをビジネスとしているわけで、その収益源となる儲かる線を増やしたい、というのが大きな狙いなわけなので。

そう考えたとき、今回の池上線フリー乗車デー、は一つの施策に過ぎない、と考えられます。さすがに、一回のイベントを利用しただけで、人々のライフスタイルの選択に影響を与えることは難しいわけで、多線的に施策を打つことで、住居選択における電車線の想起を上げ、選択確度をあげるように努めるのではないかなと思いますが、やはり、そのような様々な施策をすることを考えたとき、集客コストの考え方がなかなか難しいな、と思わされたわけでした。

絵本作家ヨシタケシンスケさんの子育て絵本エッセイ

小さな子供を育てている人の中には、ヨシタケシンスケのお世話になっている人は多いかもしれないですね。うちも、こちらの本とかは、子供と読んだりしていました。

で、これらは、所謂絵本なのですが、子供向けの絵本だけではなく、こんな本も出しているようで、読んでみたので、ご紹介です。

ヨシタケシンスケさんの子育ての経験について、勿論絵を書きながら、表現したエッセイ絵本、て感じの本です。ヨシタケシンスケの絵本て、常識を疑ったところから始まって、自由度の高い発想のストーリーを展開しているわけですが、そんな彼特有の目線で、洞察に富んだ子供との生活のエトセトラについて、共有されていて、とても面白い内容になっています。

面白い人って、目線が面白いんですよね。同じ何かを見ても、その何かについての見方が異なり、それにより、得られる情報や考えが変わるわけですが、その違いを如実にかんじさせるのが、ヨシタケシンスケさんなのかな、と。小さな子供をお育ての方は、読んでみると面白いかもしれませんね。ぜひ~