たけしの華麗なる消費生活

たけしが、華麗なる毎日にであったモノやコトやシコウについてのメモ。JPとUSのVisionary Company、Management Consulting Firm、MarketingやBusiness Development、Business Strategyな経験からか、そもそもだからなのか、かなり自由な風味で書き綴っております^^

理論と実践のブリッジツールとしての経営書

秀逸なポジションを取った経営書「世界の経営学者はいま何を考えているのか」

2016年にハーバードビジネスレビューの読者が選ぶベスト経営者のNo1に選ばれていたということで、遅ればせながら、一気に読んでみました。

まず、読んでみて思うのは、冒頭部分にあるのですが、本としてのポジションの取り方が面白いということです。ハーバードビジネスレビューが学術書ではなく、実用向けの論文集ということで最先端の内容ではないよ、であるとか、ドラッカーの思想としては良いけど、定量的な論拠に基づく科学ではないよ、であるとか、ポーターはちょっと古いよ、みたいなことが書かれていて、読者にとって身近なコンテンツについて、最先端ではない、と言い切り、読者の自尊心をくすぐったところで、幾つかの経営学のテーマについて紹介しています。このような本の読者は、大概巷にある本を読み漁っているので、そんなことを言われると焦るわけです。狙い定めたイントロといったところでしょうか。

しかし、中身を読んでみると、そんなに斬新なテーマはなかったかな、と思います。一橋大学大学院の楠木さんは、理論と実践の行ったり来たりが大事と言っていますが、経営の先端で、理論と実践をいったりきたりしている人にとっては、経営の断片に関する思考を巡らすわけですが、それらのどこかに当てはまる内容なのかな、と思います。

それは、逆説的なのですが、経営学が科学であり、定量的な論拠に基づくものであり、ドラッカーを引き合いに出したにもかかわらず、本としては、科学的な根拠の紹介は薄くエッセイ的にして、読み手が読みやすいような仕立てにしたことにあるかもしれませんね。最先端なのだけど、そんなに最近のことではないのも関係あると思います。まあ、学問なので、毎月新しい理論やフレームワークが生まれるわけではない時間軸、ということも関係あるでしょうね。

ほとんどの組織に当てはめて考えられる理論。トランザクションメモリー

とはいえ、自分が日頃考えていることに関する理論として、整理する意味ではよかったテーマがありました。まさに、楠木さんが書いた通りのお話です。

トランザクションメモリー:組織の記憶力に重要なことは、組織全体が何を覚えているかではなく、組織の各メンバーが他メンバーの誰が何を知っているか、を知っておくことである。英語で言えば、Whatではなく、Who knows whatであるということ

組織運営として、いかに組織の能力を最大化するか、は大きな論点だと思います。これは、短期的にも中長期的にもある論点かな、と思います。とある1つの組織の仕組み設計であるとか、会社としての仕組み設計などに関連する部分です。前者は、ちょっとしたルールやエクセルでの整理で片付く話かもしれないし、後者は、システム構築や組織組織設計、ちょっとした風土(会社内部活などもそう)の醸成などが出口としてあるでしょう。

これらの仕組み設計の拠り所となる理論がトランザクションメモリーということです。あなたの、私の携わる会社組織の1つの仕組みには、そんな経営理論があったりするのは結構面白いと思います。そして、そうした経営理論として抽象化され、その経営理論があるがゆえに俯瞰的に自分の所属する組織をみてみることで、さらに具体的な打ち手として、色々と思いつくでしょう。それが、楠木さんの話なのですが、それが理論の活用の仕方なのだと思います。

経営学は、理論と実践のブリッジツール

そういう意味で、最後の方で、経営学は役に立つのか?と、異なる視点から経営学を見つめているのですが、個人的には役に立つ、と思っています。でも、世界の経営者がいま考えている経営学である必要はないかと思います。私たちが日々経営である仕事をする中で、実践の一方にある経営学、の方法論やフレームワーク、それらがあることで、僕たちの実践の整理や意味合いを考える上でのツールとして役立てれば、と。

最近、これも遅ればせながら、ミスミの三枝匡さんの「ザ・会社改造」を読みました。彼は戦略経営者として、フレームワークの重要性を説いているのですが、本に出てくるのは、プロダクトポートフォリオマトリクスやABC分析による原価管理のフレームワークです。これらは古典的なフレームワークであり、最先端では全くありません。しかし、これらのフレームワークのメリットもデメリットも理解しきった上で、実用的であるとして採用し、ミスミにカスタムされたフレームワークとして活用しきっているわけです。

理論と実践のいったりきたりなわけですが、どんな理論でも良いわけでなく、使い勝手の良い理論であれば良いのでは、と思うわけです。そういう意味では、最先端でなくても良いのですが、最先端でも良いわけですが、業界や業種が異なる広範なビジネスの中で、いかに有効なフレームワークを経営学の中から抽出できるか、が事業経営者のセンスなのかもしれないな、と思った次第です。