たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

ビジネスモデルを読み解く方法を学ぶ本

はじめに

MBAより簡単で英語より大切な決算を読む習慣」という本が、最近結構売れているようなので、年末ということで、読んでみました。著者は、少し前に楽天執行役員をしていて、最近ではシリコンバレーで起業しているシバタナオキさん。

決算書からビジネスモデルを読み解く方法を学ぶ本

本の帯には、こんなことが書かれています。

(注意マーク)本書は会計の本ではなく、決算書からビジネスモデルを読む解くビジネス書です

読んでみると、その通りの内容でした。

読み手としては、事業戦略・開発、事業計画、または、事業投資をしている人が対象なのかな、と思いますが、決算書を会計的に読むわけではなく、ビジネスモデルが何で、その企業はどのような状態なのか、そして、今後何をやろうとしているのか、どのようになっていくか、の企業分析をして、意味合いを抽出する方法が書かれています。

具体的には、各業界別に、ビジネスモデルを構造的に説明した上で、決算情報から導出できる重要KPIを基に、他競合企業との分析や当該企業の時系列分析を行うとともに、定性的な打ち手等とを連関させながら、読み解いていっているのですが、冒頭の通り、楽天でバリバリ働いていた方の企業分析の様を具体的にトレースできるという意味でも、この本は面白いかもしれませんね(楽天では、この本にあるような分析を基に、朝会の資料を作成していたらしいですので)。

分析するための具体的なKPI

さて、具体的に、どのようなKPIをみているのか、については参考になるかなと思いますので、引用として、業界別にメモをしておきましょう。

  • EC:ネット売上=取扱高×テイクレート
  • 広告:売上=ユーザー数×ユーザーあたり売上(ARPU
  • 個人課金Biz:売上=広告売上+課金売上、ユーザーあたり売上(ARPU)=広告ARPU+課金ARPU
  • 携帯キャリア:ARPU=音声ARPU+データARPU+サービスARPU
  • 企業買収:●●マルチプル=買収金額÷●● (●●=売上/営業利益)

何らかの企業分析をしたことがある方には、なじみのあるKPIかな、と思います。これらのKPIは、まずはチェックという感じなのですが、加えて、「決算を上手に読むための10か条」が結構いいな、と思ったので、こちらも引用しておきます。

決算を上手に読むための10か条

  1. 他人の家計の家計簿を覗くつもりで読む
  2. 必要なのは四則演算のみ
  3. 決算短信ではなく、決算説明会資料から読む
  4. 企業の将来を予測しようとする前に、過去を正確に理解する
  5. 各ビジネスの構造を数式で理解する
  6. 各ビジネスの主要な数字を暗記する
  7. 徹底的な因数分解でユニットエコノミクスを計算する
  8. 成長率(対前年比)を必ず確認する
  9. 一社だけではなく、類似企業の決算も分析・比較する
  10. 類似企業間の違いを説明できるようにする

なかなか秀逸な内容かな、と思います。2の必要なのは四則演算のみ、というのがまた良いですね。構造的に考えて、それを整理するのに、高度な計算式は必要ない、ということで、誰でもできるよ、という雰囲気で書いてくれていて好感が持てますね。

おわりに

恐らく自分で決算説明会資料や有価証券報告書などで分析しようとすると、当該重点KPIがキレイにのっていることもなく、なんとなく分析できないな、と思うこともあるかもしれません。でも、先に紹介したように、ある情報、数字から、四則演算などを駆使しながら分析することで、意味合いを出すような分析は結構できるのかな、と思います。この本を片手に、色々な決算説明書を読んでみると良いかもしれませんし、もっと目的を出すとしたら、投資をしてみるときに、ちょっと時間を使って、数字をいじってみると良いかもしれませんね。ぼくも、この本にならって、色々分析しようと思いましたー