たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

一目でわからせる (「図解表現のルール」ドナ・M・ウォン/村井瑞枝)

ビジネスという文脈では、「あるテーマについて、自分が考えたことを、相手に伝えて、理解してもらって、動いてもらう」、ことが必要となる。しかし、この一つのセンテンスを純度高く実践することは非常に難しい。

 

そもそも、「あるテーマについて、自分が考える」こと自体難しいのだが(謙虚に最高を目指す人にとっては)、その大きな山を超えたとして、「相手に伝えて、理解してもらって、動いてもらう」ことも同様に難しい。そのためには、相手の置かれている状況を論理的にも感情的にも政治的にも分析した上での伝え方というものが必要になるわけで、この純度を高めるというのも実に難しい行程と言えると思う。

 

そんな中、本書は、伝え方にフォーカスしていて、特に、ドキュメントでの伝え方について記載されており、更に言えば、グラフと表を用いた伝え方についてのみ書かれた内容になっている。グラフと表を使うことで、こちらが伝えたいことを、一目でわからせるための伝え方について記載されている。

 

 

本書の正式なタイトルは、「ウォールストリートジャーナル式 図解表現のルール」。世界的な経済誌であるウォールストリートジャーナルでグラフィックエディターを務めている方が著者であり、訳者はJPモルガンやBCGで、相手を資料で説得する仕事をしてきた方である。

 

定量的な分析内容について、いかに正確に意図する内容を伝えるか、といった「ルール」が書かれているのだが、なかなか参考になる。私も結構資料は作成してきたが、定量的なデータの見せ方という文脈では、まだまだやりようがあるかな、と思っていたところで読んでみて、実に良い内容だと思った。最終的には、シンプルで美しさを備えていたりするものなのよね、この領域て。とても共感するところ。

 

ルールは、無視しない方が良い。勿論、局面局面で最高となるように考えていくわけだが、ルールを無視すると、無駄に考える量が多くなり非効率になるので。勿論、ルールを理解する過程で、ルールが存在する論理的な背景を確実に理解し、遵守するルールと、遵守しないで良いルールを層別しておくことが前提だが。

 

ちなみに、グラフと表以外も含めた、ビジュアル ドキュメンテーションについては、こちらもどうぞ。