たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

セグメンテーションの難しさ (「入社10年目の羅針盤」岩瀬 大輔)

グローバルなトップノッチである岩瀬大輔氏の新著。本書は、タイトルの通りだが、入社10年目くらいのビジネスパーソンが直面するだろう課題の解決方法等に関して記述されていて、「入社1年目の教科書」が横展開された本である。

 

これらの本のマーケティング目線での目的は、彼が創業したライフネット生命の顧客獲得である。生命保険に初めて入るセグメントであろう、入社1年目の人たち。そして、ライフステージが代わり、入っている生命保険等の見直し等を図る機会が多いセグメントであろう、入社10年目前後の人たちである。彼らに対して、ライフネット生命の認知度を上げ、生命保険の選択又は見直しの際に、オプションに入れてもらえれば、というのが一連の流れである。

勿論、そのような企業側のマーケティング目線の内容を直接的に出しても仕方ないので、読者目線のベネフィットであり、筆者そして会社に関する信頼感を向上するだろうテーマとして、自己能力開発という課題に対する解決策の内容を詰めていったわけであるが、「入社1年目の教科書」は非常に良い内容が詰まっている。この本の実践を毎日継続すれば、1年で一人前のビジネスパーソンになるだろう。

他方で、「入社10年目の羅針盤」は、少し物足りなさがあった。それはなぜか?同じ様な形の同じ様な狙いの本ではあるのだが、10年目、というのは難しい。入社1年目よりも、入社10年目の方がセグメントの画一性が低いからである。10年もビジネスの経験を積んできただけに、その10年間の種類や質は多様であり、最大公約数的な課題を抽出して、わかりやすい解決策を書いたとしても、各人が納得感を得られる確度は低くなってしまうからである。

そういう意味で、横展開と言っても難しいのである。

と、なんだかマーケティング目線でレビューを書いてみたが、実際には、結構良いことが書かれているので一読の価値があると思う。個人的には、今よりも幸せになる方法、というのが引っかかった。

  • 他人と比較しないこと
  • 「慣れる」ことをやめて、いつも新鮮な気持ちを持ち続けること

一つ目は、幸せとは個人の絶対評価で決まり、比較評価から決まるものではない、ということ。二つ目は、当たり前のことを大事にして、幸せを実感すること。幸せとは回数を重ねることで色あせるものではないとも言えるだろう。

毎日の何かは、結局なんだか幸せであるという実感を自分が得るための何かなわけであり、もし、その総量を高める工夫ができたら、毎日がより良くなっていくだろう。そうした時の根本的な考え方としてとても重要なポイントだと思う。それらの考え方を基にして、毎日の色々にどのように対峙していくか、ともう一段階ブレイクダウンしてみる必要はあるが。