たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

「有言実行」できるか? (HONDA「負けるもんか」)

最近俄に話題になっているCMが、HONDAの「負けるもんか」。今年4月に公開されたCMのようだが、私はTVでは見たことが無く、とあるサイトでこのCMの存在を知った。まずは、Youtubeとそのナレーションを引用してみたので、ご覧頂けたら。

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頑張っていれば、いつか報われる。
持ち続ければ、夢は叶う。
そんなのは幻想だ。

たいてい、努力は報われない。
たいてい、正義は勝てやしない。
たいてい、夢は叶わない。

そんなこと、現実の世の中ではよくあることだ。

けれど、それがどうした?
スタートはそこからだ。

新しいことをやれば、必ずしくじる。
腹が立つ。
だから、寝る時間、食う時間を惜しんで、何度でもやる。

さぁ、昨日までの自分を超えろ。
昨日までのHondaを超えろ。

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HONDAのコーポレートメッセージは、「The Power of Dreams」だ。CM等のコミュニケーションの機会がある時に必ず出てくるメッセージである。創業者である本田宗一郎が大事にした言葉であり、その夢の力を基に、様々な困難に挑戦し、まだこの世にないモビリティを創り、新しい市場を創り、世界中の人たちを感動させた。夢を叶えるための力こそが、HONDAのアイデンティティなのである。

夢の力について、綺麗ごとではなく、厳しくて現実的な困難さへのチャレンジにフォーカスしているところに、このCMの良さがある。戦後日本が復興し、世界的な企業に成長してきたHONDAという会社に対して、共感している人は多いだろう。これまで本田宗一郎の本にもある通り、HONDAの成長は決して平坦ではなく、幾多もの困難を死にものぐるいで超えてきたところにあるということを、上のメッセージで思い起こさせるし、そういったがむしゃらな努力に対して、親近感を感じ、自分たちを重ね合わせる人も多い。このCMには、HONDAという会社に本来備わっているコーポレートブランドを今一度呼び覚ます意味合いがあるのではないか、と思う訳である。


他方で、このCMは、HONDAの社員に対するメッセージでもあるのではないか、とも思う。過去、幾度も不可能を可能にしてきたHONDAという会社に期待し、自分たち自身も同じ様な経験をしようと考えて入社してきた社員に対してだ。正直、先にあるようなHONDAのコーポレートブランドに反して、最近のHONDAの商品に魅力的な部分を感じることが少なくなっているからだ。リーマンショック後に様々な商品上のリストラをした今、ただのリストラではなく、筋肉質になった企業体質であるが故に、過去を超える様な新しい商品を世に出していくことができるのではないか。そういったポジティブな見方を敢えてしてみて、今後のHONDAの商品展開に期待していきたいと思った。

さて、このCMを見て、APPLEのCMを思い出したのは、私だけだろうか。ダウンサイドであった状況から、商品も業績も上向かせた契機になった「Think Different」のCMだ。メッセージ自体は異なるのだが、自分たちのアイデンティティを社内外に思い出させるという狙いは同じ様に感じる。そうした時に、HONDAは、APPLEのように、「有言実行」をすることができるのだろうか?綺麗なコーポレートコミュニケーションをするだけで終わる他の多くの会社とは違う会社ではないか?私は、結構期待しているんですよね。

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