たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

アラサーのあなたへ (トヨタ ReBORN ドラえもんのCM)

日本で車が売れない、と言われて久しい。自工会のデータによると、国内新車販売台数はこのように変化している。直近はさらに減少しているだろう。
  • 1990年:778万台
  • 2007年:535万台(1990年比 ▲31%)
そんな中で、自動車減税等が実施される等、経済面だけでなく、多面的な取組みがなされているわけだが、トヨタ自動車によるこちらのCMは、みんな印象深く認知したのではないだろうか。
 
 
漫画・アニメの「ドラえもん」の実写版のCM。のび太が30歳のときの。
  • のび太:妻夫木聡
  • ドラえもん:ジャン・レノ
  • しずかちゃん:水川あさみ
  • スネ夫:山下智久
  • ジャイアン:小川直也
  • ジャイ子:AKB48 前田敦子
個人的には、のび太、スネ夫、ジャイアンは、イメージ通り。ドラえもんとジャイ子はイメージ外し目的としてはアリ。でも、しずかちゃんは、イメージ通りのキャスティングを狙っているけど、石原さとみ、が適任なんじゃねの?と思った次第。



このCMの目的は、自家用車の「ReBORN=再生」だ。脱線が続いてしまうのだが、同じコンテキストで、同名のプロジェクト(eが小文字ではなかったが)を、新卒の電機メーカーでやった。かれこれ10年近く前。勿論規模は違うし、事業環境も異なる部分はあるのだが、基本的には同じコンセプトだった。うーん、誰もが同じ様なことを考えるのだなぁ。
 
CMの目的に戻ると、このCMによって、自家用車の販売台数を増加させたいと考えている。このCMが30歳ののび太ということで、アラサーの若者にもっと自動車に乗ってもらいたいのだ。アラサーの自動車保有率の数字を持っていないが、他のセグメントと比較して相当低いのだろう。CMを通じて、自動車の基本的な価値を認知してもらって、「まずは免許をとろう」「アウトドアには自動車で行きたいな」等と思わせて、自動車購入に繋げたいわけだ。
 
これらの目的に対して、効果はどれほどあるのだろうか?と考えた時、結論としては、このCM単体で考えるとなかなか難しいものがある。そもそも、なぜ、最近では自動車があまり売れていないのか?と考えた時、色々な要因が絡み合っている。例えば、こんなものがある。
  • 昔は、車を所有する家庭があまり無かったから、所有欲求が強かったが、最近は皆持っているので持つモチベーションが低い
  • 都心では公共交通が張り巡らされている中、自動車を利用することは、経済的にも、時間的にも、環境的にも、必要性が低い
  • 可処分所得や可処分時間のシェア争いの目線で見ても、スマホ、ゲーム等、車のライバルは強力かつ多様だ

ということで、他の施策との合わせ技が必要だ。結局、このCMは、ReBORNプロジェクトの一要素ということだろう。自動車保有の魅力への認知度で言えば、のび太と変わらない、アラサーの人々に、自動車保有の基本的な価値を認知してもらう。それが、このCMのゴール到達を意味する。実際に購入してもらうまでには、まだ幾つもハードルがあって、それらへの取組みはまた別ということだ。認知向上だけの目的に対しては、それなりに効果があるのではないだろうか。他にうまく繋がるかが重要だが、そこはどうなのだろうか・・・
 
このCMでは基本的な価値にフォーカスしているが、これからは、色々な面で自動車が変わっていくだろう。その頃には、私も再び自動車を持つのだろうか。