たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

10年で売上4倍 1兆円を目指すミツカンの戦略に関する推察

ミツカン未来ビジョン宣言

ミツカンさんが、「ミツカン未来ビジョン宣言」として、10年後に売上で4倍の1兆円企業を目指す発表をしていました。

www.mizkanholdings.com

友人が、ミツカンで海外を転々としていて、全然会えないこともあるので、少し触れてみようかと思います(ですので彼からの話はゼロの前提になります)。

  1. 人と社会と地球の健康:自然を敬い、自然に学び、自然が生み出すいのちを育むことに貢献する
  2. 新しいおいしさで変えていく社会:おいしさと健康を一致させる努力によって、世界の人々とコミュニケートしていく
  3. 未来を支えるガバナンス:世界で束ね、地域で活かし、おいしさを広げるガバナンスを推進する 

ミツカンさんのHPのビジョンのページのPDFより引用しています。PDFには、前文として、結構長めのステートメントがあるのですが、なかなか想いのこもった熱い内容になっています。フォントの種類も和な感じで、愛知の由緒正しい企業な雰囲気が伝わってきます。

ビジョンを実現する戦略は何か

ということで、実際に何をするのか、が気になるところです。ニュースではこんな風にありました。

具体的な取り組みとして、新しい食品素材の創造を目指し、野菜や豆に眠る栄養素を引き出す。管理栄養士や医師、生産者など幅広い分野の第一人者と協力する

まだまだ抽象度が高くて、どのように実現するのかが、わかりにくいかな、と思います。数字としてある、10年で4倍の売上は結構なスケールで、CAGRにすると約15%になるので。直近の売上はこんな感じです(2017年度決算ベース)。

  • 売上高:2,432億(前年伸び率104.1%)

エリア別にすると、こんな感じ。

  • 日本+アジア:1,160億(同102.7%)
  • 北米:1,114億(同105.5%)
  • 欧州:157億(同105.2%)

売上の約半分を占める日本+アジア市場の伸び率が、約3%と弱含み。北米は悪くはないのかもしれませんが、欧州はグロスが3桁億なのに約5%の伸び率はちょっと弱い。総じて、CAGR15%とはかなりのギャップがある足元の数字かなと思います。

そうしたとき、どのように先の数字を具体的に実現していくのか。方向性としては、こんな感じでしょうか。

  1. 日本+アジアは同じセグメントにしていて、IR上はまぶした形にしているが、内訳を推察するに、日本はせいぜい横ばいで、アジアで伸びているのではないか。日本市場はさすがに胃袋の体積が減っていくので、日本市場に投資を強くはるのは効率が悪い

  2. 一方で、アジアの胃袋は増加傾向なのは明白だが、ミツカンが提供可能な商材(短期だけでなく、中長期のグローバルな商材も含めて)と整合の強いアジアの国をターゲティングして、積極的に投資をしていくべき。販売網は勿論、製造拠点としてアジアへの供給源として魅力的な場所がある場合は配備していく

  3. アメリカは、胃袋は依然増加傾向であり、既に、販売網なども一定構築しているので、継続投資をしていくべき。加えて、多様な食文化を形成している市場の中で、北米の胃袋を掴んでいるブランドは、ミツカン以外にも勿論あるわけで、それらのブランドのうち、北米は勿論、他の展開国(顕在だけでなく潜在も含めて)と親和性の高いブランドをM&Aし、グローバルブランドで売上を拡大する

  4. 欧州は、現時点で弱すぎる。進出したタイミングの影響などがある値かもしれないが、3桁億の売上を築いているならば、既にフィジビリティスタディの期間は過ぎているはず。そうしたことを考えたときには、販売網を中心に、さらなる売上拡大のアクセルを踏むべき。ケアすべき点はアジアに近い

  5. 一方で、グローバル展開およびM&Aの打ち手をとることで拡大を図るということは、ミツカンの売上であり、その経営基盤の大半も海外になることを意味するため、そのような企業構造変化に対応可能なコーポレートイシューにも早めに手を打つべき

正直中身が全く分からない中、別に何も調べていないので、先の売上構造と基本的な知識からの推察になるので、抽象度高めになってしまうわけですが、大きな考え方としては、こんな感じなのかな、と思います。

なお、直近の人事情報などを見ましたが、執行役員クラスで、経営企画やデジタルマーケ等の人材を中途で採用しているようなので、経営企画は上記のような、大きな事業拡大をするための大きな打ち手を検討しているでしょうし、デジタルマーケは、販売目線での人材強化ということで、日本だけでなくグローバルなマーケティングの刷新を図っているのかもしれないな、と追加的な推察もしておきます。

おわりに

ミツカンさんのように、非上場のオーナー企業でかつ食品企業は、サントリーさんやUCCさんなど色々とあると思いますが、結構グローバルかつチャレンジングな目標を立てているのが好感が持てますね。

非上場であるがゆえに、長い時間軸で、大きなチャレンジが可能になるっていうのはやはりあるのでしょうね。勿論メリデメはある中、彼らがどのような打ち手を繰り出していくのかはとても興味深いな、と思いました。

友人も経営の中枢として頑張っていることを祈念しつつ、このエントリーを閉じたいと思います。