たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

たけしの若手への一言(2) 「企画」スタッフになったら読むべき本 8+1冊

はじめに

さて、たけしの若手への一言シリーズの2回目です。前回は、成長速度をあげるためには素直さが大事だよね、というマインドセットの話でしたが、今回は、かなり具体的な内容です。

タイトルは、「企画」スタッフになったら読むべき本 8+1冊、としているのですが、「企画」スタッフの方以外も読んで欲しいです。営業でも経理でもどんな機能の仕事をしている人でも良いのですが、新しい何かを考え、実行しようとする人には、役に立つ本なのではないか、と思いますので、是非ご一読ください。

「考え方」を学ぶ本 5冊

企画スタッフでない、ライン業務をしている人の多くの人にとって、「考える」局面が少ないと思います。ライン業務の多くでは、基本的に、仕事が決まっているためです。だから、何をすべきか?それは、なぜか?そして、それをどのように実現するか?について、いちいち考えないでも、前任の人の仕事を教えてもらって覚えれば、人並みにアウトプットを出せることが多いです。「考える」よりも「覚える」ことの方が多いのです(このこと自体、良い悪いはありません)。

しかし、「企画」の仕事は、「考える」ことがメインです。組織がどこに向かって活動すべきかの目標設定について考えないといけないし、私たちがいる現状についても考えないといけない、そして、目標に到達するための道筋についても考えないといけない。それらについて、ひとつひとつ掘り下げて考え、それを積み重ねて考えることが、「企画」の仕事、だと思うわけです。

勿論、「企画」スタッフ以外でも、「考える」ことが多い人はいます。そういう人は、「企画」スタッフと周りの多くからは認識されていないかもしれませんが、「企画」をしています。そのような人の「企画」能力は、わかる人にはわかるので、キャリアパスとして、企画業務につくこともありえたりするのですが、そんなキャリアの話は、またのテーマにしておきましょう。

要は、「企画」スタッフは、考えることが仕事だから、「考え方」を身につけないといけない、と思うわけです。この章では、そんな能力を身に着けることが目的だった時に、役に立つだろう本についてのご紹介なのですが、まずは、こちら。

「世界一やさしい問題解決の授業」。著者は、新卒でマッキンゼーに入社し、その後、ハーバードビジネススクールを卒業した、渡辺健介氏。戦略コンサルティングファームで培った問題解決の能力を、小さな子供でもわかるように解きほぐした内容で、子供向けの本なのですが(現在は、マッキンゼーは辞め、教育ビジネスを起業)、大人が企画の仕事の概観を理解するのにとても役立つ本であり、「企画」スタッフになったら、まずは、この本を読んでおくべきかなと思います。

続いては、「イシューからはじめよ」。こちらの著者も、マッキンゼー出身の安宅和人氏。現在は、ヤフー!ジャパンでCSOの方で、アカデミアでは脳科学を学び、マックではマーケティングを専門とする面白いキャリアを持っていて、ブログ「ニューロサイエンスとマーケティングの間」を発端にこの本が生まれたりしています。この本は、「企画」という仕事の全体像を網羅的に無駄なくカバーしています。とても読みやすい本なのですが、「企画」の仕事で価値を出すためには、どう考え、どのように行動するか、という問いに対して、明解に記述がなされています。コンサルティングファーム出身でありながら、事業会社に現在では所属しているからなのか、リアリティのある内容とも言えるかもしれません。今でもたまに読みますが、何度読んでも気づきがあるような本で、最もオススメの本です。

続いて、二冊。「仮説思考」「論点思考」。これは、先に紹介した「イシューからはじめよ」にある思考プロセスの二つについて更に解きほぐした内容、と整理できる本かなと思います。書いたのは、ボストンコンサルティンググループの元日本代表の内田和成氏。かなり前に書かれた「仮説思考」はかなり売れたので有名。思考を中心とした仕事では、おかしな頭の使い方をすると時間はいくらあっても足りなくなるわけで、そういう意味で、大事な思考プロセスの二つが紹介されています。「イシューからはじめよ」よりもやや現場感は弱いのですが、一読に値すると思います。

そして、この章の5冊目の本が、「思考・論理・分析」です。マッキンゼーで新卒第一号の波頭亮氏による本です。「考える」ことについて考え、原理的な能力を身に着けることを志向したときに、最も本質的な本になっています。そもそも、「考える」とは何か、というところから始まり、論理とは、分析とは、と解きほぐしていくわけですが、この本は、まったく無駄な文章がなく、読んでいて清々しさすら感じるレベルです。とはいえ、これまで戦略やら企画やらの本を読んだことがない人には刺激が強いかもしれないな、と思い、先の4冊を読んだ上で読んで頂くと丁度良いかな、という意味で5冊目の紹介になります。

「生産性の高め方」を学ぶ本 3冊

この章こそ、「企画」スタッフだからこその本でもなく、昨今の働き方改革などの背景を踏まえると、すべての人が読むべき本だと思っていますが、「企画」の人は、不確実性が高いテーマを取り扱い、定型の業務の割合が少ないがゆえに、生産性を高めるためのポイントが実はすごく沢山あることに、読んでみると気づくことができます。

勿論、気づくだけでなく、これらの本にあるtipsやヒントを実践することで生産性が高まると思いますし、そこにあることについて、実践するだけでなく、彼ら著者らがそれらに気づき彼らが実践するに至った背景にも迫って考えてみることで、これらの本で紹介されていることだけでなく、私たち自身が、自らの改善の取組みを自律的に実践していけたらという意味でオススメさせて頂きます。そして、これらの本は、前章と比べて、読んだらすぐに実践できる内容も多い点でもオススメで、これらの本も早期に読んで、環境や能力のキャッチアップスピードを上げる意味でも大事だと思います。

まずは、こちら。佐藤オオキ氏の「400のプロジェクトを同時に進める佐藤オオキのスピード仕事術」。NHKのプロフェッショナル仕事の流儀に出演したときのNHKによる紹介では、「超人的」な仕事っぷり、と。よくある広告業界グラフィックデザイン、といった狭い領域でのクリエイティブではなく、プロダクトや建築、ビジネスなどなどあらゆる領域でデザインをし続ける佐藤オオキ氏だが、その背景には、日々創意工夫を行い、自らの能力を高め続けようとしている取組みがあります。本にある一つ一つの意味合いを理解し、取り入れたいのは勿論ですが、自分という人間に向き合い理解し、その上で、自分に最適な仕事の仕方を追求している点も見逃せないし、そんな姿勢も取り入れたいところです。

こちらは、マッキンゼーの元パートナーの赤羽雄二氏の「速さは全てを解決する 『ゼロ秒思考』」。この人は、生産性の鬼で、佐藤オオキ氏に通じるところがあります。生産性は無限に上がり続ける、という考え方、姿勢を前面に出している点、そして、マッキンゼーで結果を出し、その後、独立し、もう60歳近いと思うのですが、今でも果てない向上心を持つ点にはとても好感を持てます。20代でも、30代でも、40代でも、何歳でも、自分自身を改善し、より価値を出せる人になれるし、向上し続けることができるのだ、と考えることができると思えます。本の内容としては、佐藤オオキ氏よりもよりtipsの色彩が強いのですが、日々の行動習慣を変えたり、仕組み化することによるメリットが大きいのは言わずもがななわけで、すぐに取り入れられることも多く、誰もができるだろうという意味で、こちらもとてもオススメです。

こちらは、よくあるハーバード式、の冠がつくタイトルで、ノウハウ本の色彩はより強いのかもしれませんが、先の「ゼロ秒思考」と同じ位置づけとして、グローバルのトップノッチの目線でも、生産性向上の術を担保するという意味で、読んでみたらいかがでしょうか、という本になります。著者は、30兆円を動かす資産運用会社の元会長で、ハーバードビジネススクールで教鞭もするロバート・C・ボーゼン。グローバルリーダーの仕事っぷりを垣間見ることができて、良いかなと思います。

おわりに+1冊

最後に、+1冊のご紹介。

こちらは、ボストンコンサルティンググループの前日本代表の御立尚資による「使う力」。企画に大事なスキルを構造的に整理し、それらのスキルを高めるための本なども紹介されていて、この本を読んで、さらに、自分が高めたいスキルにつながる本を読む、というサイクルに入れる意味でも、とても良い本だったりするのですが、ここでオススメしたいのは、「使う」という行動についてです。

今回紹介した先の8冊もそうですが、自分に本質的に役に立つ情報はそこかしこにあり、それを指南してくれる情報も同様にそこかしこにあり、私たちは、何かをやればよい、だけの状態にあることは多い。今回紹介した本も、読んだり学んでほしいことなわけなのですが、それらを仕事という実践の場で使わなかったら、そもそもの大目的からは外れてしまって、時間潰しのネタになりかわってしまいます。この「使う力」という本では、そのように、手段が目的化してしまうような、頭でっかちな学習オタクになるのではなく、学んだことを使っていこう!と説かれている点がポイントです。

今回のエントリーのタイトルの通り、一義的に「企画」スタッフになったら、といった状況に置かれた人を対象とした内容だったとしたときに、これまでに紹介した本は、毎日「使える」本になっているのです。本を読んだら実践し、実践してみたら本を読んでみる。かの一橋大学大学院の楠木健氏に言わせると、具体と抽象の行ったり来たり、を毎日毎日積み重ねることができる環境にあります。(逆に、ライン業務の色彩が多い部署にいる方は、本を読んでも、少し目の前の仕事からは遠いため、シャドーボクシングの色彩が強くなってしまいます。でも、そんなシャドーボクシングを積み重ねることが能力向上の機会獲得の確度を上げていくとも思うので、是非読んで欲しいとも思います。)

そういう意味で、ここで紹介した本は、まずは読んでみて、実践してみて、また読んで頂きたいな、と思います。わずか、8+1冊。私が、20代の頃は、色々な人や何かの情報を得て、手当たり次第の本、きっとその数十倍以上だと思いますが、そんな沢山の本から厳選した、8+1冊になります。是非、手に取ってみて頂けたらと思います!