齋藤孝さんが説く、「読書」と「思考力」の関係
齋藤孝さんによる「読書が育む思考力」
学研が月次で新聞を発行しているのですが、10月号の特集が良かった。テレビにもよく出ている明治大学文学部教授の斎藤孝さんが出ていたのだけど、読書が育む子どもの思考力、という記事が書かれていた。引用すると、
- 読書から得られるものはたくさんありますが、もっとも重要なのは「思考力」です。私たちは、頭の中で考えを整理していくときに言葉を使います。ぼんやりと思っていることも、言葉を使って考えるとはっきりします。思考力は言葉ととても関係が深いと言えるでしょう。言葉を使いこなせないと思考力を深めたり、正確に表現したりできません。そのために、必要な言葉や論理の組み立て方は、本を読むことで得られる部分が非常に大きいのです。
- 日常会話だけで語彙を増やすには限界があります。読書をして語彙を増やし、思考の訓練をすれば、思考がそれだけ緻密になり、思考する持久力がつきます。幼いことから読書をするかどうかで、将来、大きな差が出るでしょう。
- 読書の質を高める手段の一つとして、読み終わったあとに、あらすじを話すというのもよい方法です。読んだ本の内容をアウトプットする習慣をつけておくと、読みが深まり、本の内容を記憶にとどめる効果もあります。
- あらすじを話す、その次のステップに、感想文を書く、ということがあります。一冊すべてについて書くのではなく、面白いと思ったところにだけについて書くのでも構いません。本から得たことを書いてはっきりさせる、これは志向の訓練になるので、とても有効です。
学研の広報新聞なので、子供向けの内容、とは当然考えることができるのだけど、子供だけではなく、全ての人に通じた内容であり、大学を卒業した大人にとっても、意味合いが深い内容だなぁ、と思い、筆をとったのが今回のエントリー、ということです。
「思考力」と読書の関係
1. は、読書が必要であることの背景が書かれているのですが、思考力には、語彙や論理立てが必要なわけですが、それらの能力のためのインプットとして、読書があるということです。一方、それらの能力獲得において、別に読書でなく、日常会話、日常生活でも十分なのではないか、という反論が起きそうな点について、2.では未然に反証している形になっています。やはり、読書は必要です、と。
3. のあらすじを話す、と4.の感想文を書く、というのは、1.などでも書かれている、語彙や論理立てのインプットから、自分の能力に昇華させる定着率を上げるためのアウトプット行動の取組み、という位置付けになります。ただ、目で見て脳で理解するだけでなく、実際に、口と耳を使って、あらすじを話したり、目と手を使って、感想文を書く、といったアウトプットの行動をすることで、インプットからの能力定着率があがる、ということです。
僕は、このブログで本のレビューを書くのも同じ目的で、本を読むこと自体はとても良い行動なのだけど、その行動だけで満足するのではなく、何かしらアウトプットすることで、そのインプット情報を一回使ってみる、という行動が大事なのかなと思うのですよね。その過程で、目に入っていた語彙を明確に意識し、論理立てについては尚更、アウトプットに至れないわけなので。
おわりに
他にも、この特集では、いかに、読書を「習慣」にするか?といった論点について、読書のハードルを下げる、とか、どのような本が良いか、とか、読書している子供に対してどのように接するか、といったことも書かれていて、とても密度が濃い内容でした。
この特集では、こちらの本も紹介されていたので、恐らくここで書かれていた内容は最低限書かれているのでしょう(齋藤孝さん的には、本の宣伝の意味でもあるので)。もし、読書の意味合いや、読書習慣の身に着け方に興味があるかたは、小さな子供のいらっしゃる方だけでなく、大人の方も一読されてはいかがでしょうか。 読書、という行動について、改めて考えさせられ、向き合い方が変わるかもしれません。ぜひ~