たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

コネクトとイノベーション (「「ひらめき」を生む技術」伊藤穣一)

MITメディアラボの所長である伊藤穣一さんが、いかに「ひらめき」を生むか、という命題に対して、4人のトップランナーとの対談を通じて、迫った内容をまとめた本。

 

伊藤穣一=起業家+投資家+取締役 の顔

伊藤穣一さんというと、先にも書いた、MITメディアラボの所長になった際に、結構マスコミに騒がれました。彼は、大学を中退していて、そんな人がトップスクールのラボの所長になるとは、と実力本位のアメリカ社会という要素を割り引いても、ユニークなニュースだったようです。

しかし、彼の経歴を見ると、納得がいくのかもしれませんね。起業家として、そして、投資家として、かなりの実績をあげ、グローバルな大企業の取締役も沢山やっており、ITの世界では、グローバルで知る人ぞ知る人なわけですから。

  • 起業家の顔:PSINet Japan、株式会社デジタルガレージ、Infoseek Japan
  • 投資家の顔:Twitter、Six Apart、Wikia、Flickr、Last.fm、Fotonauts、Kickstarter、Path、loftwork
  • 取締役の顔:デジタルガレージ、カルチュア・コンビニエンス・クラブ、ローソン、マネックスグループ、SONY、ニューヨーク・タイムズ、Mozilla Foundation、Creative Commons、The John S. and James L. Knight Foundation、マッカーサー基金、など

 

コネクトからイノベーション、の要件

そんな彼が、MITメディアラボ所長に就任して、メディアラボを通じて、イノベーションを起こしていこうと取組んだ一つが、彼のネットワーク内のトップノッチをラボに連れてきて、対談をすること。

なぜ、そのようなことをするのか?それは、多様な人材をコネクトさせればさせるほど、クリエイティビティやイノベーションを生むことができるから、というモノ。

この考え方って、どう思いますか?個人的には、運用次第だと思っています。ただ多様な人材をコネクトさせれば何かが生まれるわけではないと思うのですよね。化学反応が、然るべき原子と原子で、結合やら切断がおきないと、化学反応は起きない様に、然るべき人と人がコネクトされないと、イノベーションは起きないと思います。

伊藤穣一さんも、それは当然心得て、意味のある人をその場に呼んでいるし、他の仕事でもそのようにしていることでしょう。本中に出てくるトップノッチ4人について、なぜ、彼らを呼んだか、という紹介がとても理にかなった内容だったわけで。

 

イノベーターの思考原理とイノベーションの芽

と、コネクトとイノベーションについて、触れてみましたが、中身も結構面白かったです。起業家だけでなく、映画プロデューサー、IDEO代表などが、対談相手なわけですが、ビジネス畑の人として、対談を通じて、彼らの思考原理を垣間みてみると、なかなかビジネスの世界に通じる原理的な内容が多くて、楽しく読めます。

結局、原理は基本的に同じ、と思いつつ、違う畑の各人の思考の断片を読んでみると、やはり違いは当然あるのですが、その違いこそ、化学反応の芽みたいな部分なのかな、とか思いました。その芽をアナロジーとして、自分の領域に活かすみたいなこと。

そのような柔軟性を持ちつつの傾聴力、みたいなのが、コネクトからのイノベーションには必須なのだろうなと思います。