たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

読書と思考 (「戦略読書日記」楠木 健)

部分的に積読していたのですが、全般的に積読しました。結果、結構面白いと思いました。ご一読をオススメします。

 

「ストーリーとしての競争戦略」という売れた本を出した、一橋大学教授の楠木 健氏の読書感想文、ならぬ、戦略読書日記。「戦略」と書かれているのはご愛嬌ですね。私は、「ストーリーとしての競争戦略」を読んでいないのですが、この本を読んでいると、著者の人柄がよくわかる。大学教授なのに型にはまらず、ユニークな視点で、洞察を得ていく感じ。先にご愛嬌と書いたように、「戦略」読書日記、というタイトルを付けても許せるな、と思いました。

 

 

ということで、この本は、読書感想文なのですが、よくもまあ、これだけの読書感想文を書けるなぁ、といったリッチな内容になっています。

 

いきなり少し前の話なのですが、とても優秀な人と一緒に仕事をしていました。彼と一緒に仕事をしていた時には、「考える」ことについて、とても考えさせられたかな、と思います。一つの情報を得て、何かの意見を発するわけですが、その意見が、色々な目線で、色々な情報と接続して、ユニークだが腑に落ちる示唆に富んだ内容だったので、こういうことを思考力というし、頭が良い、知性がある、ということなのだろうな、と思わされたわけです。

 

一つの領域だけでなく、多領域に股がる情報について、浅薄でもなくある程度の深いレベルまで収集されていて、かつ、キレイに引き出しにストックされている。そして、ある情報を入手した時には、既にある引き出しから、関連する情報を即座に出してきて、うまくコーディネートしてくれるな、と思わされたわけですね。京都大学理学部で脳科学の研究で博士まで行く人ってこんなか、って感じで。

 

それに、近い感覚を少し感じました。正確には、先の彼よりも、幅広い知性を有していると感じさせられたわけではなくて、職業柄得られる情報のアービトラージ等も含めた、ユニークな意見であり捉え方が面白かったりするのですが、まあ、それも有りかな、と思いました。

 

ちなみに、ロングインタビューにある「僕の読書スタイル」というのがなかなか面白い。難易度で本を3レイヤーに分類し、各レイヤーに属す本を同時並行的に読み進め、読書をして読書をする、つまり、難しい本を読んだら、少し易しい本を読んで、という流れで、10時間とか読書をし続ける、話とか。仕事の文脈以外で、本を年間300冊程読むらしいですが、その読書スタイルもなかなかユニークでしたね。仕事以外で、年間300冊で、この本にある読書感想文レベルで思考も巡らすと、なかなかの脳運動だと思いますが。「思考」で勝負している人の読書スタイルを読んでみるというのも面白いかもしれませんね。