たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

「キャスト」の本当の意味を知る (「ジュビレーション」ディズニーランド)

33歳にして初めて、ディズニーランドのパレードを見た。最前列を確保した、という連絡がきて、開始までワクワクしながら待ち、パレードが始まった。パレードが始まって5分程経った頃だろうか。私の頬に一筋の涙がつたい始めた。楽しさはあっという間に通り過ぎていて、感動で涙が止まらなくなっていた。

 

ディズニーランドで働く人たちのことを、「キャスト」と言う。ディズニーランドそのものが舞台であり、そこで働く人たちは、各人の役割を演じているため、「キャスト」という。昔、経営学の授業か何かで知った内容だ。働くことに関するコンセプトメイクは非常にユニークで、記憶に刷り込まれてはいたのだが、私は、その本当の意味を理解していなかったようだ。

 

私が感動したのは、パレードにダンサーとして参加されていた「キャスト」の方々に対してだ。

  • ダンサーの方々のどなたをどの角度で見ても、目は活き活きしていて、表情は大きく豊かで、まさにチャーミング
  • ダンスの動作は大きくてわかりやすい。しかし、みなのダンスは確実に揃っていて、ダンスの単体・全体のレベルは高い
  • ダンサー3-5人程度で、一グループになっているのだが、グループ内で役割分担がなされ、曲に合わせて、ダンスだけでなく掛け合いがあったりして、そこには物語が存在している
  • ストリートを存分にフルに使っている。パレードが始まるまではただの道でしかなかったのに、物語の一部であろう全く違う世界が存在している

パレードは20分間続き、その間、上記の内容から外れることは一度もなくて、完成度は極めて高い。「夢の国」がそこには在って、その舞台で魅力的に演じている「キャスト」がそこにはいた。

 

「誰か」に「何か」を提供するために「真剣に」取組んだことがあるだろうか。商品・サービスでも、余興でも、プレゼンでも何でもいい。「誰か」を「真剣に」考えたとき、「誰か」の置かれている状況を、持ち合わせた事実の分析と、可能な限りの想像をして、その「誰か」が「何か」を受け取る状況について、あらゆる想定を置いてみる。そして、その「誰か」に最適な「何か」を創り込んでいく。その創り込みは、God is in the details.の世界。何度も考え、創り、そして、壊し、考え、創るをエンドレスに繰り返していく。最高の提供を目指したとき、それは、5分のプレゼンでも困難な取組みだったりする。

 

その難しさを考えたとき、20分間の「夢の国」を創ることは困難を極めることは想像に難くない。パレードの完成度の背景として存在しているだろう果てしない準備に、キャストの方々はどれほどの時間を費やしたのだろうか。

 

加えて、キャストの方々は、AKB48やジャニーズのように一人ひとりにスポットライトが浴びられることは決してなくて、パレードという一つの総合エンターテイメントを創り上げる、という純粋な想いが、先の果てしない準備を可能としていて、結果、「夢の国」を創り上げているという事実があったりする。

 

私は、「夢の国」の素敵な時間を体験するとともに、20分間の「夢の国」を創るキャストの方々の準備の大変さと、根底にあるだろう純粋な想いを感じてみて、感動し、涙を流さずにはいられなかった。

 

なかなか言葉では表現しきれない素敵な時間でした。また、パレードを、キャストを見に、ディズニーランドにいきたいと思います。