たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

19×19の世界の物語 (ヒカルの碁)

父と義父が、東大在学中から囲碁をやっていたということで、孫には囲碁を教えたいという話が出たりする。私も、小さい頃に少し嗜んだようだが、物心がついた頃にはやめてしまっていたようだが、自分の子供が囲碁をするのも悪くないかも、とか思ったり。そんな中、「ヒカルの碁」を手に取ってみた。一気読み。実に面白かった。9巻までが特に(集英社文庫全12巻で)。


 
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主人公は小学六年生の頃に、祖父の物置で、古い碁盤に遭遇し、平安時代の棋士であった亡霊 藤原佐為に取り憑かれる。藤原佐為は江戸時代に本因坊秀策にも取り憑いていたのだが、本因坊秀策は囲碁の歴史を振り返って最も強い棋士であったのではないかという位の強者。藤原佐為はとてつもなく強い棋士であったのだ。
 
主人公は藤原佐為と共存していく中で、近くの囲碁サロンで、同じ年齢の少年と碁を打つ。その少年は、名人を父に持ち、その年齢では圧倒的な実力であることから、同年代の大会にも出ず、棋院にも入らない天才少年であったのだが、藤原佐為の言うままに碁を打ったところ、主人公はその天才少年に勝ってしまった。主人公と天才少年とのライバル関係の始まりである。
 
最初は言われるままに、碁を打っていた主人公であるが、ライバルである天才少年に感化され、碁の面白さに目覚め、のめり込んでいき、自分で碁を打っていく様になる。また、取り憑いている藤原佐為からの碁の訓練を受け、とても速いスピードで、実力を上げていく。そんな主人公の成長の中で、やがて、藤原佐為は成仏され、主人公から去っていくのである。
 
主人公は、藤原佐為がいなくなったことで、自分を見失い、囲碁を打たないことを心に決めるが、ある時、囲碁を打たなければいけない状況になり囲碁を打ったときに、自分の中に、藤原佐為の棋風があることに気づき、自分の中に藤原佐為が生きていることを認識し、自分は碁を一生打っていくことを心に決めた。
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物語は、藤原佐為と碁を打っていく過程での主人公の成長であり、更なる高みへと持ち上げることができるライバルとの関係性の部分が核であって、物語のスピード感に惹き付けられる。また、Death Note、バクマン。の作画の小畑健の絵の美しさが物語を一段高いレベルに引き上げている。