たけしの華麗なる消費生活

消費したモノ・コトについて、書いています。

正しい資産形成の在り方 (「なぜ投資のプロはサルに負けるのか?」 藤沢 数希)

著者は、ブログ「金融日記」を書いている藤沢数希氏。彼のブログは、最近知ったのですが、ファクトベースで切れ味鋭い情報を発信しています。優秀なコンサルタントの様な多面的かつ論理的な展開をみせています。

元々、理学部博士卒で研究者であり、その後外資金融機関のクオンツ(高度な数学的手法を基に投資戦略や商品開発をする職種)に転身したということで、物事の根本まで定量的に突き詰める論理思考力を持ちつつ、自然科学だけではなく、社会科学にも柔軟な思考も持ち併せている、といった感じでしょうか。ブログもこの本も、とても面白い。

 


家族が増えたり、年をとってくると、中長期目線で住居や教育等の多大な支出がリアルに想定され、資産形成の方針を考えざるを得ないという人も多いのではないでしょうか。本書では、お金持ちになるため/お金に苦労しないためには、何の投資をすれば良いか?という疑問に対して、シンプルに回答しています。

  • 投資をしないこと
  • 自分の仕事を一生懸命取組んで、給料を上げるべき


非常にわかりやすい結論です。投資の最前線で働いている人による、ファクトを基にした結論なのでとても腑に落ちます。「よい投資法が必ずしもむずかしいものである必要はありません」とも。

  • 投資はリスクに満ちあふれている。どんなに優秀なファンドでも破綻する可能性がある(投資のスタープレイヤーで構成されたLTCMが好例)中、儲かる投資先を継続的に見つけることは、困難
  • 仮に、期待リターンを得ることができても5%程度(株式投資の場合)である。例えば、100万円を投資した場合、5万円でしかない。逆に、年間300万円を投資で稼ぎたいならば、6,000万円が必要
  • よって、目の前の仕事に一生懸命に取組んで、年収を上げる方が近道。リスクも非常に少ない

しかし、ある程度の資産が積み上がっている、または、積み上がったときを見据えて、投資をするならば、下記の投資が良いということも論理的に結論付けられています。
  • インデックス投資をする(TOPIX : MSCI Kokusai = 15 : 85)
これは、山崎元氏の下記の本の結論と一緒です。日本株と海外株の比率は異なりますが、記述の時期も異なることが関係しているでしょう。インデックス投資は、投資自体の面白さはないが、着実な投資方法として、両者に触れられています。
 

  

以上が、正しい資産形成のサマリーです。本中には、資産の構成要素と、各要素の重点項目についてシャープに説明されているので、一読をオススメします。日常生活の経済合理性を高めるには良い内容が詰まっています。

最後に、コラムの一部として書かれていたフィナンシャル・フリーダムについて、メモします。非常に共感ですね。

  • フィナンシャル・フリーダムをなるべく早く達成するには、経済合理的に賢く行動し続けることです
  • 長時間続けても苦にならない好きなこと、自分の得意なことをなるべく仕事にしてキャリアを構築し、起業等の機会をうかがい、これはというチャンスに出会ったらそのリスクに賭けます
  • そして、稼いだ金を効率よく投資に回します
  • 地道に自分の能力を磨き、時として人生に訪れる大きなチャンスをつかみ取れるように、いつも感性を研ぎ澄ませないといけません
  • 要は、「人事を尽くして天命を待つ」ということです